Fri. May 8th, 2026

余談

隙があったので自分を語る(3)

それからは夜な夜な、真夜中の時刻になるなるとズガガガガ、ギィーギィー、バンという音がし始めたのでした。木の壁を切り裂いて侵入しようとしているみたいでした。私の寝室は二階にあり和室ですが、畳の下には空間があり、壁とつながっていて外から虫が入れるようになっています。私が眠りにつくか着かないかという時に、彼は私の寝ている畳の真下に来て、何時間もウロウロしていました。 家から出ていけ、さもなくば首を切ってやるぞと脅しているかのように。引越し当初掃除していて見つけた、前に住まわれていた方が残していったであろう血だまりとドアに残してあった手形の血痕が頭を横切りました。 私はうるさいぞと畳や壁を叩いたり音を出したりしましたが、全く止まる気配がありません。それから数日同じような攻防が続きました。しばらくしてから昆虫王は去っていきましたが、ヤモリ君と闘って敗れたのか、興味をなくして去っていったのかはわかりません。 私は峰を連ねる山々を見るのが好きです。地方は自然が多く、木々が生い茂っていますので空気も新鮮でおいしいです。移住してから私は多くの感銘を受けましたー動物の知能がとても高いという事に気づきましたし、植物や昆虫、自然と密に接していくうちに私の内在する考えも変わったように感じます。 生命とは何なのかその問に頭を悩ませながら今日も一日平穏無事であることを願っております。

隙があったので自分を語る(2)

次に出会ったのはヤモリでした。目はワニのようにギラついていて肌は黄色です。ゴキブリなど昆虫を捕食しているようでした。 特に敵意も感じられなかったので目と目で会話をした(つもり)私はその場を立ち去りましたが、彼はなんと食べたゴキブリ一匹につき、家に設置してあるゴキブリホイホイの周りに糞をして帰っていったのです。 一つ、二つ、三つと...昨日食べましたよ、家の害虫を退治しましたよとでも報告をしてくれているようでした。 そして私は昆虫王に出会います。なんの種の昆虫かわかりませんが、丸々と太っていて空気配管に入るか入らないかくらいの大きさの虫でしょうか。 私が洗面台でコンタクトを取り外していると、どこからともなく現れた彼は、私の周りをゆっくりと回りだしたのです。慌てるでもなく急ぐでもなく、品定めをしているように。私は気が動転していたのでよく覚えていませんが、手のひらサイズの大きさだったように思います。 時は12月、昆虫がほとんど居ない冬に彼は元気に走り回っていたのです。

隙があったので自分を語ってみました。(1)

筆者は以前神奈川県に住んでいましたが、心機一転、新天地を求めて地方に引っ越しました。 引っ越した家の外壁には虫が入れるような穴がいくつかありました。屋根裏も壁と屋根に隙間があったりと沢山の昆虫が出入りできる状態です。 まさに昆虫の王国でした。遭遇した昆虫は数知れず、夜中に数十匹のゴキブリやら何やらが家の周りをドンドンバンバン音を立てて移動していったこともあります。 私が最初に遭遇した昆虫はゴキブリ君でした。キッチンで夕飯の準備をしていた時です。最初は私の方をじっと見ていましたが、私が歩いていくと急に我に返ったかのように走り去っていきました。あまりに慌てていたのでしょうカーブのところで曲がり切れずに危うくひっくり返ってしまうところでした。 ゴキブリというと、思い出深いことがあります。5年程前になるでしょうか。私の部屋にゴキブリがでました。部屋が密閉空間で外に逃がしてやれる大きさでもなかったので、スリッパで叩き潰したのですが、その5分後に同じ場所でゴキブリがじっとしていたのです。私が近づいてもなんの反応もありません。おそらくツガイだったのでしょう。「あなた~、どこなの?ごはんよ!」人間には聞こえない声で呼びかけていたのかもしれません。 かわいそうだと思ったので一緒に天国に送ってあげました。